遠回りの夢を、棟梁への道に変える人
福田健哉さんは、岡山県出身だ。
群馬県で自転車屋の店長として働いていた過去を持っている。自転車という道具は、少しの違和感が走りに出る。音、ゆがみ、締め具合、部品の消耗。目に見えるようで、見えない小さな調整の積み重ねで、人の移動を支えている。
私は、その経験が今の福田さんにつながっていると思っている。
人の話を聞き、困りごとを受け取り、道具と手を使って形にする。自転車屋の店長として積み重ねた時間は、建築の世界に入った時にも、消えてなくなるものではない。
新しいことに挑戦したい。
建築を学びたい。
そう思って、福田さんはエルハウスの門を叩いた。
エルハウスでは、最初から大工だったわけではない。コンサルタントとして働き、お客様の家づくりに向き合った。図面を見て、資金を考え、暮らしを聞き、家づくりの入り口に立つ仕事を経験した。
そしてその時期に、自分自身の平屋も建てた。
お客様に家づくりを伝える人が、自分の家を建てる。これは大きい。土地を決め、間取りを考え、お金と向き合い、家族と暮らしをつくる。家づくりは仕事の知識だけではわからない。自分の人生で経験して初めて、言葉に体温が入る。
福田さんは、その体験を持っている。
その後、彼はとても大きな分岐点に立った。
高校時代の夢だった医者になる道へ進むのか。
それとも、建築をさらに極め、大工の道へ進むのか。
どちらも簡単な道ではない。どちらも人の人生に深く関わる仕事だ。医者は人の命に向き合う。大工は、人の暮らしの器をつくる。正解を外から決めることはできない。
医学部へ進まなかったことは、夢を捨てたということではないと思っている。
人を支える仕事の形を、自分で選び直したのだと思う。
最後は、自分の命を何に使いたいのかだ。
福田さんは、大工の見習いとして藤森棟梁の内弟子になる道を選んだ。
私は、その選択を尊いと思っている。
大工の見習いは、かっこいい言葉だけでは続かない。朝の現場、道具の準備、材料運び、掃除、段取り、失敗、やり直し。最初はできないことばかりだと思う。コンサルタントとしてお客様の前に立っていた人が、今度は現場で一から学ぶ。その切り替えには、勇気がいる。
でも、福田さんには未来の記憶がある。
一人前の棟梁になる未来だ。
今は家族と暮らしながら、その未来に向けて毎日を積み重ねている。自分が建てた平屋で暮らし、藤森棟梁の背中を見て、現場で手を動かす。過去の経験と、今の修行と、未来の棟梁の姿が少しずつつながっていく。
Live Our Journeysでは、望む人生を共に生きることを大事にしている。
会社にとって都合の良い道ではなく、その人の過去の体験と望む人生を見て、一緒に橋を架ける。
福田さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
だからこそ、これからも支援していきたい。
福田さんは、自分の人生を選び直し、棟梁への道を歩き始めた仲間だ。
Live Our Journeys──かなわない夢はない、望む人生を手に入れよう。

